ロマンチックモード

日常と映画と本と音楽について

美味しいもの、友達とのおしゃべり

9月15日、歯医者で歯ブラシについての指導を受けた後、その足で大通公園に向かった。口を開けば「人の作ったうまいものが食いたい」と言い合っている友人と一路、地震で延期になっていたオータムフェストに赴いたのだ。

強い日差し、カラッとした空気、少し冷たい風。北海道の四季で一番いい季節に全道から集まってくるうまいものを食べる。こんなに素敵なことはないのに、ここ数年の客入りとは明らかに違っていた。日本語しか聞こえてこない。いえいえ、大袈裟ではなくここ数年札幌の街の喧騒のほとんどは異国語で形成されていたのです。オータムフェストもその例に漏れず、今私はどこにいるんだっけ?というほど日本語が聞こえてこない。そんな観光都市の日常に慣れてしまっていたので、しばらくはその違和感に気付かなかった。相変わらず混んでいて、思う通りに歩けないほど人はいるのに、聞こえてくるのは日本語だけ。席もすぐに見つかる。確実に、人が減っているのが分かった。

それでも長蛇の列の留萌のうにめしは美味しかったし、別海のホタテは大きいのに味も濃く、平取牛のステーキはぎゅむぎゅむと噛めば噛むほど肉のうまみが口いっぱいに広がる。海や山の味で美味しくなった口の中をビールですっきりさせるととてつもない多幸感に襲われた。ビールのおかげですぐにお腹が膨れてしまったけれど、最後に締めパフェ、までは行けなかったけど締めジェラートをいただいて札幌駅まで歩いた。

道中、友人に家のことや仕事のことを話させてもらった。こういう時友人はとにかく私の肩を持ってくれる。正直、めちゃくちゃ甘やかしてくれるのだ。「それはない!」「ひどいね!」と合いの手を入れてくれるので、それはもう気分よく話させてもらった。そのあとはヨドバシカメラでレンズを見たり、またお茶をしながらグリーンランドのビルドSPショーが中止になったことを嘆いたりして別れた。

最近すぐに悲観的になる私に、友人は「身体のケガは物理で治るけど、心がケガをするとそうはいかないから」と心配してくれた。友人自身もまた夜には不安になることもあるだろうし、何度か見ている。そのたびに私は「大丈夫、何かあったら助けるし、生きてるだけでOK」と声をかけるけど、それは自分への言い聞かせにもなっているし、これからも支え合って、というか、傷を舐め合ってでも生きていくしかないのだろう、と思った。