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映画「来る」


映画『来る』「ザキヤマイッキ見第一弾」

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)

あらすじ:
不思議なことが起こる場所には必ず人間がいる。行いがある。営みがある。
どんな手段を使ってもっ俺はっお前をっ倒ーーーーーーーす!!!!!

見ました。見ましたよ。そして、確かに来た。来ました。もう予告通り、ばっちり来ました。私は例えば映画のホラーは苦手だけどホラーゲームの実況をホラーだと気付かずに見てしまっているような、「アイ・アム・ア・ヒーロー」は全然平気だけど「SAW」は苦手みたいな、そういうタイプなんですけど、この「来る」は全く怖くなかったです。

そう、全く怖くなかったです。いや、ちゃんとホラー映画ではある。ちゃんと我々が知る伝統的なホラー映画の手法が散らばっている映画になっている。でもなんだろう。すごく楽しかったんですよ。「怖い」という感情よりも「楽しい」感情のほうが強かった。次は何が「来る」んだろうというワクワク感!そう、確かに私はワクワクしていた。なぜそのワクワク感に集中できたのかというと、

・来るときには「来る」と言ってくれる
・驚かせ方もパターンが同じなのでちゃんと慣れる

の二つが大きい気がする。
ただ、先に言った通り「ちゃんとホラー」なので、分かっていても見れないという方もいると思います。なので、ネタバレにならない程度に「これがダメな人はダメだろうな」という要素も挙げておきます。

・バン!という驚かし自体がダメ
・毛虫
・子供(乳児・幼児)がかわいそうな描写(追記)
・赤い血

特に一番最後のは要注意だと思います。人体破壊はあるんですけど、その破壊行為や部位を執拗に映すようなことはないので、それが苦手な人は少し目を逸らせば大丈夫な程度なんですが、とにかく後半に行くにつれて画面が赤くなります。その赤い液体が血であるという描写はないけれど、血にしか見えない赤い液体が画面を覆いつくすので、とにかく画面が赤く染まるのが苦手だという方はやめておいたほうがいいと思います。

ただ、本当に楽しかった。人の思いが、行いが、悪いものを呼び寄せる。そう、老いも若きも!そしてそれを!全力で迎え撃つ松たか子!率いる!霊能集団!2018年最後の大バトルが幕を開けるッ!!!!!!ラーメンを旨そうに食う松たか子に首ったけ!!!!!!!そして、エンドロールの潔さ。
万人受けは絶対しないこの終わり方も、私は大好きです。お手本通りのホラー映画の手法を使い、人体破壊をやりつつも、PG12に収める手腕。エンターテインメントでした。本当に見てよかった!!!あと今井こと太賀ー!!!!今井の時気付かなかったけどお前イケメンだな!!!!!

以下ネタバレです。


死にゆく者は生きる者への憧れを強くし、生きる者は死への興味を隠さず。現実を見ず理想だけを書き連ねる夫の姿も同じことだ。人は憧れへの興味を絶やさない。それが何歳であろうと。

理想と現実の乖離が一定のレベルまで行くと、そいつはそれに惹かれてやってくるのか。そのあたりの説明は全くない。けれど、その欲望への推進力の凄まじさ!奪うことへの躊躇いのなさ!そいつの根源がそもそも人間が作った業によってできた「人間」の思念であり欲望であるし、わざわざ呼び寄せることをしたのも「人間」だ。結局怖いのは「人間」なのだ。

松たか子霊媒の方法を見てもわかる。「綺麗な部屋に迎え入れて、おだてる」神のように扱うのだと劇中で言っていたけれど、まるで人間相手のおもてなしじゃないか。敬意を払い、おだてて、いい気分にさせて、いるべきところに帰らせる。同じだろう。

それにしても、じゃんじゃか人が死んでいって本当に驚いた。以下箇条書き。

・夫、よくこんな絶妙にムカつくキャラクターを作ったもんだ
柴田理恵、良き…
柴田理恵のあの優しさ…好き…
・集まってくるあらゆる霊媒師たちがプロ意識高くてヤベー超お仕事映画じゃん
・と思ったらいきなりハリウッドの足手まといターン
・ええーーーー!!ちょま、ええーーーー!!
・完

最後の岡田准一小松菜奈ペアには若干、というかかなりの苛立ちを覚えましたが、オチ、良かったです。子供の欲望が呼び寄せた末路としてはあまりにも人が死に過ぎたけど、じゃあこの、すやすや眠る子供はどんな夢を見ているの?

ああ、これは、もしかしたらバチが当たるということなのか?子供は守るべき、そして守られるべき存在であり、私たち人間が営みを続けるには子供を産み育て続けるしかないというのに、それを怠るということは!こういうことやぞと!めちゃくちゃどでかいなにかに叱られたような感覚にもなりました。
ただひとつだけ、一か所だけね!黒木華が死ぬトイレのドアから顔ヌーンはあれちょっと、あれはちょっとね!笑ったよね!めっちゃアゴ出してね?体勢無理じゃね?アゴスライドさせてね?てなってダメだったですね!ハハッ!
ただ、ムカつく人間が軒並み綺麗に死んでいくし、それ以外の人も一生懸命生きて死んでいくし、なんかこう、見ていて気持ちがよかったです!すごく元気になりました!今年中に、もう一回見たいなあ。