ロマンチックモード

日常と映画と本と音楽について

洞爺湖へ家族旅行(ザレイクビューTOYA乃の風リゾート)

2月23日、ここ最近の暖かさも極まり非常に快適なドライブが始まった。義父の誕生日のお祝いに4家族での旅行である。今回受験のため参加できなかった人もいるが、それでも総勢9名での大移動であった。

暖かいとはいってもまだ2月である。久々に運転するメンバーもいるため往路は峠を大きく迂回する経路を取ったのだけどさすがにかかるね。苫小牧西でようやく高速に乗って4時間弱の長旅となってしまった。途中コンビニで飲み物を買ったり、灰色のトイレの上にカラスしか飛んでいないパーキングでサイレント・ヒルごっこをしたりしながらおおむねご機嫌で到着した。車3台で走っていたわけだが、途中1台は三星のソフトクリームに、もう1台は銀行に寄ったりしたものの到着のタイミングはしっかり3台揃っていたのは拍手ものだった。

nonokaze-resort.com

間違いなく高級ホテルであった。エントランス、ロビーのデザインは開放感があり正面に洞爺湖を見渡せるよう設計されている。もちろん部屋からの眺めも文句なしのレイクビューであり、部屋の中にトイレ、2台の洗面所、お風呂、TV付きベッドルーム、ソファーに座ると正面に洞爺湖があり、その右手に改めてTVを正面に据えたリビングがある。廊下にはマッサージチェアが2台置いてあり自由に使うことができる。(ショッピングモールのように100円を入れる必要はない)部屋着も2種類から選べたり、足元も下駄とスリッパ好きな方を使用できる。なによりホテル内がめちゃくちゃ静かなのだ。ロビーも廊下も部屋の中にいても本当に静かで他の客の気配がまるで感じられないので、我が一行のアイドルである2歳児の声について少々心配していたが、いざ食事に行くと同じ年頃の子供たちも結構いたので作りがそうなっているのだと思われる。大浴場もキレイで露天風呂の温度も丁度良かったが夜に行ったからさすがに景色までは拝めなかった。露天風呂は明るい時間に行った方が楽しめるのだろう。

夜も朝もビュッフェだったがこれもまたすべてが美味しく、夜は酒が進んだ。大皿から取り分けるものとは別に小鉢がたくさん用意されていて、その一つ一つが非常に上品な味付けになっていた。刺身やステーキももちろんおいしいのだけど、家庭では絶対にできない複雑な味付けをされた小鉢類に大満足であった。
朝のビュッフェも和洋中あり、中でも朝から巻き寿司が食べれたり、お茶漬け用に2種類の出汁が用意されていたり、そうかと思えばソフトクリームやぜんざい、リンゴを目の前ですりつぶしてくれるフレッシュジュースまで用意されている。
食事で難点を挙げるとすれば少々子供向けのアイテムが少ないくらいだと思う。2歳児にはお子様ランチが作られているのだけど、11歳の舌にはなかなか難儀で、特に夜は「食べるものがない」と嘆いていた。朝食にはフライドポテトなどが並びようやく嬉しそうに食べていたので安心した次第である。もともと食べることができるものが少ないのならそれを選べばいいだけだが、小・中学生には厳しいかもしれない。

姪っ子たちとの旅行はこれが3回目だったが、同室になったのは初めてだった。そこで気付いたことがある。(今回は甥っ子が受験のためその父と二人で留守番となり同室になった)

2歳と11歳の姪っ子はどちらも可愛い。11歳は普段から2歳児の面倒をよく見ていて、特に旅行ともなると親も安心して11歳に預けてしまう。もうすぐ3歳になる2歳児はここ最近おしゃべりの幅を広げていて、どんどん言葉を覚える2歳児の面白さは11歳も感じていると思う。
それでもやっぱり11歳も子供なのだ。自分も遊んで欲しい。自分のことを知ってほしい。自分とおしゃべりしてほしい。2歳児のおしゃべりがひと段落ついて、父親に買ってもらった魔法のステッキに夢中になり始めると、11歳は私にグイっと寄ってきてお気に入りのK-POPグループについて話し始めた。11歳は基本的にはBTSを追っているんだけど見た目のお気に入りはPENTAGONのイドンだと言う。ひとしきりPENTAGONのイドンの画像検索を見せられて、なるほどこれは美しいね、セクシーだね、と言って、一緒にPENTAGONの「SHINE」という曲のPVを見たりしていた。


[MV] PENTAGON(펜타곤) _ Shine(빛나리)
冒頭から登場して最初に歌い始めるのがイドン氏である

そうしている間も2歳児の動向は視界に入れておかないといけないし、でもこちらをおろそかにして11歳の気持ちを無碍にすることも絶対にしたくない、などと忙しくしていたら2人の母親が戻ってきて鑑賞会は終わってしまった。

これが長子・末子に起こる悲劇の一つになってしまうんだろうな、と思った。長子は極めて悲劇的に自分の奪われっぷりを言うけれど、長子が末子くらいの時には同じようにしてもらっていたのだ。むしろ物理的な援助を受けていたのは長子の方だろう。でもその時期を知らないから、自我が芽生える頃に末子がいると奪われる記憶から積み重ねられていく。
どちらにしろ仕方ないのだ。私は末子だけど、長子がそのように感じるのも無理はないなと思う。私が長子でもうらやましく思うのだろう。一番後から家族というコミュニティーに参加する末子がコミュニケーションに長けていると言われるのも分かる。最初から年の近い人間がいるのといないのとでは違うのだろう。

夜、2歳児は声を張り上げることこそしなかったけど定期的に悲しみの声を上げていた。いや本当に悲しそうに泣くね2歳児は。離れた布団の上で「そうか…隣の部屋に行きたいか…行かせてあげられなくて私も悲しい…」と思いながらその声を聴いていた。これを2人の男児を育てる会社の人に伝えたところ「同調するのね!優しい!」と言われてしまったが残念ながら毎日じゃないからこそ新鮮に同調できるのだ。2歳児とは「お前が持っているポテトを寄越せ」「このポテトを捨てさせろ」「あいつのポテトを寄越せ」「さっき捨てたポテトを食わせろ」という理不尽コンボを車内で発動させる悪魔である。これらすべての所業を私が笑顔ないし同調でやりすごせるのはこの一時だけでいいからである。それだけは表明しておきたい。

復路は好天を受けて中山峠を突っ切ってきたお陰で2時間ちょっとのドライブとなった。このようにして素晴らしい宿と騒がしい家族での短い旅行が終わったわけだが、最後に11歳が猛烈に推してきたPENTAGONのイドン氏は昨年11月に熱愛報道を受けて事務所を解雇されていることだけ書き残しておく。