第25話 諦めたことと諦めてないこと
10月14日、3連休をどこにもいかずに終了する。
改めて分かったことは、自分は家が好き、ということだ。カメラを抱えてヒーローショーに行ったり、名古屋や京都へ旅行しに行ったりもしたけれど、この3連休で確信した。私は家が好きだ。
というのも、氷河期と言われる時期に就職して以降「大型連休」をしっかりとフルで休むことがなかった。それが今の会社に転職してからというもの、大型連休をいちいちフルで休み、土日も祝日も休み、という生活になり、月給制の安定した収入もあり、そうなったらきっと自分は大好きなヒーローショーに行きまくるんだろうと思っていた。
実際は違った。まったく行かなくなった。
結婚を機に引っ越しした現在の家は最寄駅から離れていて、徒歩15~20分の場所にある。以前、私が少ない給料と少ない休日を使ってヒーローショーに行っていた時に住んでいたのは最寄り駅まで徒歩6分ほどで、しかもその最寄り駅がハブ駅だった。それで、思い出した。私は自分が出不精なのを知っていてあそこに引っ越ししたんだったな、と。
最初の頃こそ頑張って出掛けていたものの、最寄り駅までの道のりが出勤のそれとは違いそれはそれは遠く感じて、ある時諦めた。ヒーローショーを見ること自体結構な重労働なのだ。30分前に現着し、それ以降撮影会が終わるまで2時間~2時間半は立ちっぱなしでカメラを抱え続けるのである。友人たちは平気な顔でやっていたけど、私には非常に重労働だったし、位置取りで何か言われたりしないかという精神的なプレッシャーも毎回あった。それでもショーを見るのは楽しくてできていたけど、最寄り駅までの、最初の壁があまりに高く、諦めざるを得なかった。
諦めたら、当たり前のようだけど楽になった。後半は義務感で家を出ていたのだけど、もう無理だと思ったら諦めもついた。そうしたら、自然と家で過ごす時間が増える。家で過ごすことに慣れてきて思い出した。というか、ようやっと気付いた。私は家が好きなんだな、と。
でも、どこかに旅行に行きたいという欲もあるのが面倒なところだ。実は来月は友人が久しぶりに個展を開催するということで、それを口実に東京へ旅行に行くことにした。
問題はその後。年末年始に9連休が待っている。夫は介護施設の勤務なので大型連休はない。昨年から今年にかけての11連休は夫が普通に勤務だったため実家に帰らせてもらった。(結婚して何故年越しを1人で迎えねばならぬのか…)それで今、考えている。家が大好きな人間が大型連休を外で過ごす方法を。
第24話 メンチをきる
10月10日、2日連続で寝坊した。
特別夜更かししたわけでもないのに45分寝坊したのは昨日のことだった。6時の目覚ましを止めた次の瞬間6時45分になっていて、45分の寝坊は許容範囲であることと、なによりいつもより45分長く寝ていたからなのか、久し振りにスッキリとした目覚めであった。顔を洗い、着替え、朝ご飯を食べて出社するには1時間あればできるので特別焦りもせず過ごしたのだけど、じゃあ何ができなかったかというと、毎朝やっているストレッチと軽い筋トレ、これができなかった。
そんなことがあったので、昨日の夜は反省を活かして23時には布団に入った。うっかりYouTubeを見てしまったのですぐということはなかったし、一度トイレにも起きたので完ぺきではなかったものの、いつもよりも早く寝に入ったはずなのに、6時の起床が怠い。そういえば昨日は45分寝坊しても余裕だったな、と思った次の瞬間には毛布を被っていたよね。
それで何が言いたいかというと、結局2日連続でストレッチと軽い筋トレをしないまま家を出たら、今日はもう怠いことこの上なし。運動もしていないのに身体中がギシギシと凝り固まっているのが分かる。朝からストレッチだの筋トレだのをしていると言うと「えーすごい」「よくできるね」「私には無理」文字にすると素直に褒めているようにも見えるこれらを嘲笑に満ちた顔で言ってくれた人たち(1人や2人ではない)が思い出されるが、やっぱりやった方がいいんじゃないかよ、なんて思ったりしたわけです。きっと言った人たちはすっかり忘れているんだろうけど、私はいまだ過去の亡霊に「そんなのやって意味あるの?」と言われ、あるからやってるんだよとメンチを切るんです。
映画の感想について
Filmarksに書くようになりました。なにか長い文章を書きたくて仕方が無くなった時にこちらに書くことにします。
2019年10月現在のスキンケアについて
前回スキンケアについて書いてからすでに変わっているので、現在のベストメンバーを残しておくことにする。
前回の記事↓
yumegiwa.hatenablog.com
私の肌はいわゆる敏感肌、皮膚科に行くと「アトピー」と言われる類なのだけど、たとえば新しい化粧水を付けて『ピリッと感じる』とか、そういった感覚が超絶鈍い。何の前触れもなく突如として痒くなり真っ赤になる。吹き出物もできやすい。毛穴はあまりない。日光にあたりすぎると湿疹が出る。そんな私の今現在のベストメンバーは以下の通り。
クレンジング
無印良品 マイルドクリームクレンジング
www.muji.net
化粧水
無印良品 クリアケア化粧水・高保湿タイプ
www.muji.net
クリーム
ニベアクリーム
- 出版社/メーカー: 花王
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
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このラインアップでこの半年は落ち着いている。多分また「曲がり角」に差し掛かったら変えざるを得ないんだろうな、と思いながらも、一番高くて洗顔料2000円なのでこれでいきたいな、と思っている。
「クリームクレンジングって落ちなくない?」と思われるかもしれないが、そもそも『石鹸で落ちる』と謳っているファンデーションを使っている。クリームクレンジングでは主にアイメイクを落として、なんとなくダブル洗顔で育ってきたので全体も撫でている程度。せっかくなのでメイク用品も残しておく。
ファンデーション
ETVOS タイムレスフォギーミネラルファンデーション
etvos.com
これをETVOSのブラシ(https://etvos.com/shop/g/gAJ10030-000/)でつけている。
アイシャドウ
RMK インジーニアス パウダーアイズ N
onlineshop.rmkrmk.com
チーク
ETVOS ポンポンミネラルチーク
etvos.com
口紅
クリニーク チャビー スティック インテンス モイスチャライジング リップ カラーバーム
www.clinique.jp
これもめちゃくちゃおすすめ。といいつつ口紅は鞍替えした。(10/7追記)
ドラマティカリー ディファレント リップスティック
www.clinique.jp
1000円ほど高くなるけどそれでも他ブランドの口紅より良心的な価格、そしてなにより落ちない。なのに荒れない。すごい。
塗る範囲の広いものは石鹸で落とせる刺激の少ないもの、アイシャドウも粉ものなので少しいいものを選んでいる。マスカラは高くてもパンダになるものはなるので安いものを試していたのだけど、しばらくこれでいくと思う。口紅はクリニークのクレヨンタイプがとても使いやすくて、発色、バリエーション、値段が丁度いい。夏はオレンジで乗り切ったのだけど、一度塗ってティッシュオフすると今時っぽく仕上がる。
またしばらくして選手登録が変わった頃、書こうかなと思う。
第23話 思い込む
9月23日、3連休最終日は温帯低気圧の影響で土砂降りの一日となった。
撮る写真や綴る文章が好きでいろんな媒体でフォローしている人がいる。複雑な家庭環境から自立し、自らの力だけで家を購入し、その後結婚したその流れをSNSを通して見てきた。難病が発覚したことも見ていたし、大きな手術をしたのも知っている。そんな中でもペットを愛し、エンタメを愛し、病気もなんのその果敢に運動し、たまに自撮りを上げて可愛い顔を見せてくれる。恐らく年下だろう彼女を私は心から尊敬している。
でもたまに、どす黒い感情が自分の中に貯まる。私から見てセンスが良く、顔も可愛い彼女がたまに「自分を可愛いと思い込むことが必要だ」とか、「センスのなさを荒い画像で隠すのだ」とかいう主旨の発言をすると、分かりやすく私のソウルジェムは濁る。
親戚、親、学友、通りすがりの人から「可愛くない」「ブス」「デブ」「消えろ」と言われ続けた結果である。大人になってからは親と通りすがりの人くらいになり、最近は通りすがりの人くらいになったが、いまだ「ブス」と「消えろ」は言われる。なにか言いたくなるオーラでも出ているのだろうか。こういう話をすると驚かれることの方が多いので、私以外の人はあまり言われていないのかもしれない。そうなってくると、「なるほど、私は客観的に見てそうであるという確率が高くなってしまうな」と思わざるを得ない。
そういう経験が、「SNSに自撮りを上げれてしまう人」が自分の美醜を低く見積もっていることに反応し、濁らせる。正直な話、ひどく落ち込むし、そう思ってしまうことに自己嫌悪を覚える。
この感情をどうにか切り離してしまいたいと思い、これまでいろいろと試してきた。定期的によく行ったのは「諦めること」だ。はいはい、私はそうですよ、と認めてしまうのである。これは非常に有効で、すべてどうでもよくなる魔法の言葉だ。誰に何も期待せず、自分自身にも期待しないこの方法は、一定期間効能が続き、その期間は極めて安定した精神を保てる。これまで何度か試した中で、最長は3年ほどだ。
ただ、この方法は反動が激しい。精神が安定していると周りに人が増える。するとしばらく経った時に猛烈な「信頼」への渇望が生まれるのだ。信頼、期待、そういった感情が唐突に生まれ、信用したい、期待したいと思うようになる。自動的に、その信頼や期待に応えて欲しいと思う。そう思った瞬間に、この方法で得た安寧は崩れ去る。
遠くからわざわざこちらに来てマウントを取るタイプの人にも以前から好かれていたのだけど、この人たちについての対処法はかなり最初の方から一貫していた。「相当私のことが羨ましいんだろうな」と思うのだ。これは今まで一度も崩れたことの無い方法で、しかも多分正解だと思う。こういう人はしばしば私の観測範囲外に生まれ、唐突に視界に入り込み、「あなたの世界でも私がナンバーワンだ」みたいなことを言う。完全に「知らんがな」であるし、わざわざ言いに来たということは私のことを「自分がナンバーワンである世界を崩す脅威」とでも思っているんだろう。それをシンプルに言ったのが「相当私のことが羨ましいんだろうな」という考え方だ。
3連休最終日の夜は、1人の夜だった。別に珍しくもない夫が夜勤の夜だ。少しさぼり気味だったここ最近の反動が出たのか、17時でゼルダを切り上げて、夫の弁当用のおかずをこしらえたあと、フィットボクシングで汗を流した。シャワーから上がったら21時半になっていたので、少々悩みながらも結局Netflixで「イングロリアス・バスターズ」を観た。そして、布団の中で久しぶりに考えている。そろそろ切り離す方法を得てもいいのではないか。たまに顔を出すこのどす黒い感情を。
気持ちの墓場が欲しい、と常日頃から思っていた。このドロドロした気持ちにもどうにか成仏して欲しいのだ。でも言葉に出すと、どこかに言葉として残ってしまうと何かが溜まってしまうような気がして二の足を踏んでいたところで、思い出した。「思い込むことが必要だ」と。私から見て素敵な彼女も、どこかで私のような経験をして、そう思えなくなってしまったのかもしれない。それで、言い聞かせているのかもしれない。自撮りを載せちゃうのはすごいなと思うけど、そうすることで得られる「いいね」で彼女も心の傷をなんとか癒そうとしているのかもしれない。
美醜に限らず何かを好きだというと詳しい人からマウントをされたりしてきたし、マウント自体は良くてもそれによって寄ってくる人が面倒だなと思って色々と避けてきたけれど、そろそろ最後の成長時ではないだろうか。40歳になる頃には、今から思い込んだ自分になっているように。
ゲーム「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」
9月17日、フィットボクシングでヘトヘトになり、グビグビとプロテインを飲んだ後、風呂に入りフーッと一息ついたあとでもできちゃうそれがこのゲーム「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」だッ…!
- 出版社/メーカー: 任天堂
- 発売日: 2017/03/03
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正直最初は不安だった。PS4の「Marvel's Spider-man」をアホほど遊び尽くしてしまった後で、このアニメっぽい絵柄とCGで満足できるのだろうか。実際最初は結構きつかった。爽快感の感じ方が全然違うのだ。
スパイダーマンの方は、スピードに乗ってスイングすること、なにより犯罪者をボッコボコにする爽快感があった。正直スパイダーマンの方は動きの全てがめちゃくちゃスピーディーで、例えばコマンドの入力に対するレスポンスも早く戦闘中即座にキルムービー(殺してはいない!)が流れる様はゲームなのに映画を観ているかのようなカッコよさがあった。
それで、ゼルダを始めてみたらその動きのひとつひとつの遅さよ!危うく「ゼルダすぐ死ぬ」と言うマンガを描きそうになるくらいすぐ死ぬ。スパイダーマンが何百メートルのビルから落ちてもうんともすんとも言わないしいくらでも泳げちゃうのに対し、ゼルダときたらちょっと落ちたらすぐ死ぬ。体力がなくなって溺れる。(ゼルダゼルダと書いているが操作する主人公はリンクである)
まあとにかくめっちゃすぐ死ぬ。リンクは我々人間とほぼ変わらない状態で100年の眠りから覚めちゃう。70年寝てたキャップと違うところは本人の記憶がないところだ。100年の眠りから覚めたリンクの体力はハート3つ分だった。青いザコ敵に殴られたら一発で死ぬ。ほら!すぐ死ぬ!なので最初はひたすら逃げていた。多少茶色のザコと戦い武器やリンゴを奪う行為はするものの、基本は逃げの姿勢を徹底した。
敵をボッコボコにする爽快感のゲームから一転こんな状況なので、ザコ敵すらボコれないことに若干のストレスを感じ始めていた矢先、バッタを取ることに目覚める。そーっと近付きAボタンを連打し捕まえるのが超楽しい。そのうちボタン操作にも慣れてきて、獲物がいるとすぐに弓矢で狙うことを覚えたら、もう楽しくなっていた。なるほど、このゲームは「過ごす」ゲーム!皆が口をそろえて言うのはこのことだったのか!
祠も最初こそ苦戦したが、「ゼルダ」の文脈を理解したらあらゆる方法を試してみることが容易になり自分で解くことができるようになった。たまにどうしても分からなくて攻略サイトを見たら「力づくで」とか書いてあってズコーとなることもあるけど、なにより音が気持ちいいので許している。
「ゼルダ」といえば有名な音のフレーズがある。なにか謎を解いたときに流れるあのフレーズだ。これまで一度も「ゼルダ」シリーズをプレイしたことがない私でも知っているから、知らない人はいないと思う。あの音がめちゃくちゃ気持ちいい。他にもこのゲームには気持ちのいい音がたくさん溢れている。一番好きなのは素材をゲットしている時の音だ。魔物を倒すと1体につき2,3個素材が手に入るのだけど、時には闘いながら取らずにはいられずやっぱりAボタンを連打する。立て続けにゲットしている音を聞くとめちゃくちゃ気持ちがいい。
実際にどういうプレイをしているかというと、とりあえず目に見えたところに向かうが山があったら登りたいタチなので、無計画登山家スタイルだ。とにかく高いところが好きなのですぐ登ってしまう。雨の日はがっかりするけどジャンプのタイミングを図って無理やり登ったりもする。私の操作するリンクはかなり握力がついているはずだ。
敵の集落があると必ず潰したい衝動に駆られるのだけど、絶対に見つかりたくないタイプだ。遠くから矢を放って焼き尽くすのが基本戦闘スタイルで、敵の基本櫓であるドクロの右目のあたりまでこっそり登り、中に爆弾を落としてせん滅するのが得意の戦法である。序盤こそ避けていたものの、体力ゲージであるハートが6個を超えたあたりからは果敢に挑むようになった。今でもたまに敵の持っている武器が強力で一発KOを食らうこともあるが、絶対に根絶やしにしてやる、という強い決意が生まれるのでやる気に繋がっていると思う。
サブクエストとして「ミニチャレンジ」だとか「ほこらチャレンジ」だとかいろいろあるのだけど、なるほど了解した、と心の中で思いながらほぼなにもしていない。何もしていなくても、たまに「そういえば鶏を捕まえろって言ってたな」と何かの最中にやっているといつの間にかクリアしたことになったり、ただ頂上を目指したくて山を登った先に祠があり「ほこらチャレンジ」にクリアしたことになったりと、特別目指さなくてもある程度クリアできるらしいのでいいことにする。
最近はちょっと強気に塔を目指しバンバン地図を開けたりしている。あんなに怖かったガーディアンも「所詮ゲームの敵…」と思いながらチーン!という音(クリティカルに入ると鳴るのだ)を聞くために目玉を狙うことに精を出している。
なんだかんだとプレイしているのにまだ四神獣のうちひとつしかクリアできていない。クリアしたのは水の神獣なんだけど、カラクリが面白くて楽しかったし、泳ぎが早くなる服をもらったのでウキウキである。あとシド王子がウザ良かった。そこをクリアすると時間回復型の1回全回復がもらえるんだけど、そのたびにその力の元である女の子が「私が…助ける…」と呟くので正直嬉しいけどうるさいな、と思っている。ボス戦の最中も「しっかり…!」とか声掛けてきて超うざかったのだけど、検索したら人気のようだったのでグッと押し黙った。
今日は30分しかプレイしなかったけど、塔をひとつと祠をふたつ調子よくクリアしたので、そろそろ近くの神獣に行きたいなと思っている。ゼルダ、超楽しい!
映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
9月16日、ようやく劇場に足を運んだ。ほんのりネタバレしています。
あらすじ:
落ち目のテレビ俳優リック・ダルトンはハリウッドに居を構えていた。隣に越してきたのは新進気鋭の監督と女優で…。
「タランティーノの新作が観れる!」とワクワクしながら「シャロン・テート事件が題材らしい」「事件について知っておいた方がいい」「ヒッピー文化における1969年についても少し情報を入れておいた方が」という公開前の記事を目を皿のようにして読んでいた。見終わった今、それらの記事の過不足のない説明のお陰で120%楽しむことが出来た。
『ワンス・アポン・ア・タイム…』なので、直訳すると『昔々…』。日本でいう『昔々あるところに』と言う出だしのあれだ。『昔々あるところに、リック・ダルトンというテレビ俳優がいました。』から始まるおとぎ話が本作だ。
今出ているこの映画の紹介文には必ずと言っていいほど「ラスト13分で映画史が変わる」と書いてある。よくこういう物言いをする映画というのは、手法的な意味で「変わ」っていることをウリにするのに使うんだけど、タランティーノは違った。本当に歴史を変えた。本来的には違うけど、物理的に歴史を変えてくれた。
シャロン・テート事件というのを少し調べると、なかなか凄惨な事件で、観る前の私は楽しみでありながらもかなり構えていた。予告の「ラスト13分」というのは間違いなく事件のシーンだからだ。その事件で行われた残忍な行為はここに書くことすらしたくないほど忌むべきものであったので、それを見せられると思うとさすがに身構えてしまった。どれくらい血が飛び散るのだろう…というか、どれくらい犯人の行為をなぞるのだろうと。
結果的に言えば、全く心配することはなかった。確かに血は飛び散ったしなんなら丸焦げになったりしたけれど、思ってたのと全然違った。1969年8月9日というゴールをしっかりと印象付けながら進んでいくので、「あー!クリフ、行かないで!」なんてドキドキハラハラしてしまったけれど、いよいよのラスト13分に起こるアレコレは、終わってみれば「知ってた!!!!!!!」の連続で、全然そういう映画じゃないのに与えられた結末があまりにも私を満足させてくれるものだったので、号泣してしまった。
こんなハッピーな13分を見せられた後に振り返ってみれば、とにかくディカプリオ(リック)とブラピ(クリフ)のコンビの最高を集めた映画だった。2人の魅力がギッシリ詰まった160分(友人に「2時間弱だった気がする」とウソをついてしまった…本当にそれくらいだと思ってた)なんて、タランティーノにしか撮れない。だってディカプリオは癇癪持ちの泣き虫で、ブラピは仲間思いのケンカの大将だよ?なんだそれ!最高かよ!
どうしても血のイメージがまとわりつくタランティーノ映画の中でも、結末を知りさえすればとんでもないご褒美ムービーが2019年に爆誕してしまって、それをちゃんと映画館で観ることが出来て、私は最高に幸せな気分になった。いざという時の為に、私も火炎放射器の持ち方講習を受けたのちに、物置にでもしまっておきたいな、と思った。
グロが得意でない友人が渋っていたので「じゃあちょっと様子見てくるね」と台風の中田んぼの様子を確認する気持ちで鑑賞したのだけど、「シャロン・テート事件のことを知っていれば絶対に大丈夫だし、ディカプリオがエンドゲームのソー並みにすぐ泣く」と伝えたら、後半が響いてしまったらしくすぐさま「行く」となってくれた。見てくれればもうなんでもいい。
帰り際、感動の涙が止まらずトイレでグスグスしてたら、うっかりパンフレットを買い忘れてしまったので、あとで買いに行くつもりだ。