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新入社員から社長まで ビジネスにいちばん使える会計の本/安本隆晴

新入社員から社長まで ビジネスにいちばん使える会計の本

新入社員から社長まで ビジネスにいちばん使える会計の本

ネットで購入した割にはアタリが引けた本でした。会社を倒産させないための会計術の本、という印象です。

高校の頃に日商簿記2級を取得しているものの、経理課に配属されるわけでもなく、触ったと思ったら支社レベルで決算の必要もなく。これがね!氷河期世代ですよ!資格も知識もあるけれど必要とされない。空席もなければ社会に育てる空気もない。それが氷河期世代です。今ある一定の所得を得ている30代は、8割の運と2割の努力で生き残ったような気さえします。すいません、愚痴でした。

この本は、ここにきて突然その知識を求められた私が藁をもつかむ気持ちで会社の経費で買った会計本です。仕訳もできるし財務諸表も作れる。でもそれは資格の中の話で実際の経営の数字で作成したときに、この数字が何を意味するのか。その数字をどう使うのか。それを教えてくれる本としては分かりやすく勉強になりました。「社長まで」と謳っているだけあって、実際に使用できるレベルの資金繰り表もついていてこれから起業しようと思っていたり、駆け出しの社長なんかにはいいのかもしれません。

この本の一番信頼できるところは、会計って「財務会計」「管理会計」「税務会計」とかまあ色々あるんですけど、実務上分かっていようがいまいが関係ない、ときっぱり書いているところです。確かにそうなんですよね。管理会計に属する書類で出てきた数字を使って財務会計に落とし込んでいくわけですから、言葉がごちゃつくだけでいらない。できるようになってから「税務会計?ああ、この部分のことね」くらいでいいはず。まずできるようにならないと意味がない、というのが本文からにじみ出ていて好感が持てました。

そういった風刺に近い書き方がちょいちょいあって読み物としてすらすら読んでしまうものですから、じゃあ知識として蓄えられたかというと、少なくとも1回じゃスルスル抜け落ちます。というか、やっぱり本だけじゃ無理だなと改めて思いました。自分の会社なり公開されているどこかの会社の財務諸表と本を見比べながらやっていかないと本当の知識にはならないような気がします。

ただ、シンプルな図で貸借対照表損益計算書の相関性を表していたのは胸がすくような気持になりました。こういう風に高校時代も教えてくれたらよかったのに!とすら思ったので良書だと思います。一応簿記が分からなくても読めるようにできてるし、巻末には簿記の仕組みの解説もついていますが、これを見ながら「簿記って本当に会社の会計の基本なんだな」と思ったし、学生時代頑張っておいて良かったなと素直に思いました。とりあえずもう1周頑張って読みたいと思います。