新釈 走れメロス 他四篇/森見登美彦
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/08/25
- メディア: 文庫
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これだけ舞台が違うのに主題は原典からぶれないのがすごい。「走れメロス」なんて、暴君が怒り出しちゃっているのに、そこから繰り出される主題のエモさよ。美しき友情、ここにありです。
最後に収録された「百物語」には、前4篇の登場人物が続々と登場するんですが、そこまでに「山月記」の斎藤という人物への愛着がめきめきと育ってしまって、うっかりそのまま1周して最初に収録された「山月記」を読むと、斎藤の末路の切なさが倍増なのであります。
「山月記」の切なさと、「走れメロス」の馬鹿馬鹿しいまでの友情の美しさ、人間の複雑さがギュッと詰まった1冊でした。楽しかったー。