ロマンチックモード

日常と映画と本と音楽について

食堂かたつむり

絶望した!なので、とにかくなんとしてでも頑張ります。晴れ時々くもり、ところにより雨、でも晴れるでしょう。
活字を読むことにベクトルが向かなくて借りたり買ったりした本がたまる一方だったのですが、一息で読み切ってしまいました。それくらい読みやすい文章で、ほどほどに事件も起こり、ちょうどええ、作品です。
主人公は生い立ちに始まり物語のしょっぱなから人生の絶望という名の谷間で割と冷静に自己分析をし、冷徹な行動を企て、しかも失敗します。これは割と面白いです。まさに、「どうかしてるゼ!」です。(唐突なぶち込み)でも、この妙な冷静さが今の日本人には共感できるものなんじゃなかろうか、とも思います。
彼女はいわゆる「ことなかれ主義」的な感じなのだろうと思うのです。フツフツとした怒りや憎しみはあるし、その原因は何かも分かってる。でもってその原因ていうのの半分くらいは自分の頑固さじゃないのかっていうのもうすうす感づいている。でも今この平穏を守るために、絶対に彼女は触れようとしない。自分の黒い部分も認めたうえで、そこまでの純真さは自分にはもてないことも分かっているのです。
雰囲気としては「西の魔女が死んだ」に似ていますが、もっと直接的だし、事件らしい事件も起こる、退屈しないほっこり本です。

([お]5-1)食堂かたつむり (ポプラ文庫)

([お]5-1)食堂かたつむり (ポプラ文庫)

個人的には柴崎コウていうより貫地谷しほりだけどね!主人公!