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鬼速PDCA/冨田和成

鬼速PDCA

鬼速PDCA

恥ずかしながら初めて実用本に手を出しました。今まで実用本や自己啓発本を同じカテゴリーで捉えていたのですが、違いました。違いましたね。大変失礼しました。

仕事上、「PDCA」というものを常に実行しなければならないと言われているものの、いえその、実際、ねえ。というところで、他の実用本を選んでいる最中に、サラリーマンが私の目の前で購入したのが「PDCAノート」という本でした。これはまた別のPDCAに関する本なのですが、目の前で抜きそのままレジに持っていかれたので衝撃的だったのです。か、買うんだ…!みたいな衝撃です。そういうのを買うのは一体誰なのか、と常々思っていたのですけど、普通のサラリーマンが買うんですね。当たり前ですけど。で、今度は「何故買うのか」と考えてみたんですけど、そういった本を読んで学ぶことが選択肢として上がるからかな、と。さらに、「本を買うことが選択肢に浮かぶ状況とは」と考えてみたら、今の私じゃないかと。つまり、やれやれと言われているけれど教わることもできず、どうやら指示している上自身も分かっていないようで、自分なりのやり方に限界を感じたときであろうと。

というわけで、購入しました。この本の内容を随分丁寧に解説されているサイトもありましたが、書店で冒頭を読んだ時に「読み物として面白そう」と思ったのです。ちなみに目の前でサラリーマンが購入していった「PDCAノート」は行間が広すぎて、その割に厚みもあり、つまりこの厚みを出すために行間が広いのでは?といらんことが気になってしまうのと、少し読んだ文章に自己啓発臭を感じたのでやめました。好みだと思うのでやはり書店でパラパラめくるのは重要です。

肝心の内容ですが、多少の自慢話は入るものの(おそらくそういうものなんだろうと思います)PDCAサイクルの回し方と、実際に回した時にはこうなるよね、という解説が事細かに順を追って説明されていて、これは確かに実用本だしなんだかやる気がみなぎってきますね、という感想です。読み物として最後まで面白く読めましたし、この考え方は便利だな、という知見も広がった気がします。

曰く
PDCAを回すのは、まず計画(P)がめっちゃ大事
・実行(D)に移すなら「やることリスト(to Do)」レベルに落とし込む
・検証(C)はダメだったところとよかったところ両方
・Aはアジャスト、調整する
・Aの次はPとは限らない
・大きなPDCAの下には小さなPDCAが常に回っている

特に、最後の二つは頭では分かっているものの、なるほどですよね、という感じでした。著者自身は私からするとちょっと猛烈すぎるし趣味が仕事なんだな、としか感じないんですけど、初めてこういった実用本を読んで分かったことがあります。これはオタクと同じなんだと。つまり私が音楽や特撮についてアレコレ考えをめぐらすオタクならばこの人はPDCAについてアレコレ考えをめぐらすタイプのオタクなんだと思って、ならばほら、違う畑に興味を持ったらその界隈にいるオタクたちがどういう風にしているか様子を伺うでしょう。実用本はそのテーマの様子を伺うひとつの手法なんだなと、そう思ったわけです。もちろん一番手軽なのはネットで検索することだとは思いますが、もう少し踏み込むときの為に存在しているのが実用本であり、この文化が廃れない理由なのかもな、と思いました。面白かったです。