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快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー #51(最終回)「きっと、また逢える」

あらすじ:ドグラニオ・ヤーブンの金庫の中で、ルパンレンジャーはついにザミーゴ・デルマを倒し、大量失踪事件として処理されていた沢山の人々の命と大切な人の命を救った。パトレンジャーは金庫の中のルパンレンジャーの機転によりドグラニオ・ヤーブンを追い詰めるが、彼は決して金庫を開けようとはしなかった。

ついに最終回を迎えたルパンレンジャーVSパトレンジャー。この最終回はここ数年で最高、昨年同様良い出来栄え、柔らかく果実味が豊かで上質な味わい、どう誉めそやしても足りないどころかあまりに完ぺきな出来栄えにおいそれと何度も見ることもためらわれる5000兆点大傑作で有終の美を飾った。あまりにも予想の上の上を行かれて、私としたことが最後の一手が誰の手によってもたらされたのか本当に分からず、顔が映った瞬間破顔してしまった。なんというミスリード。あまりに美しい反転にこれを打ちながらまた涙を浮かべている始末である。完全に日常生活に異常をきたしている。この最終回と共に本日出社した私を褒めて欲しい。

これまでレオタード、キツツキ、シャケなどで予想の斜め上を突き抜けていったが、この最終回で頂点を記録してK点を超え船木並の奇麗な着地を見せたこの作品をどうか沢山の人に知ってほしい。これから見る方々が本当にうらやましい。記憶を消してもう一年楽しみたい。そんな気持ちを胸に以下ネタバレのため畳まさせていただく。直接この記事に飛んできてしまった方には申し訳ないが未視聴のようなら見ないでほしい。遅くはない、ゆっくり楽しんできてくれ。









緊張感のあるアバンから一人ずつカメラで抜かれていく姿のポージング、構図があまりに美しく、悶えていたのは私だけではないだろう。今でこそこのように言葉で残すことができるが日曜の9時30分には「カッコいいいいい」しか言っていない。


開始1分でこの取り乱しようである。

ドグラニオの金庫の中でのルパンレンジャー3人は、躍起になって外に出ようとしない。できることをする、ただそれだけ。はたしてそんな風に過ごせるだろうか。金庫の中の時間の流れ方がどうなっているのか分からないが、普通の感覚なら耐えられないだろう。改めて、その態度こそが、彼らが怪盗になった決意の重さを表しているようにも思える。そして、ジャックポットストライカーが助けに入った瞬間の絵。初美花が透真の髪を切っているという、平和の象徴なようなシーン。一瞬のことだったけど、怪盗として出会わなかったifの光景のようにも思える。絶望もしていないけど過度な希望も欲しない、不思議な穏やかさが溢れた、とてもいいシーンだ。

対して警察は、今一歩決めきれず、悲しみ、悔しさに打ちひしがれていた。たっぷりの回想シーンでその心情の深さを表現している。ドグラニオにとどめを刺すことも、ルパンレンジャーを助け出すこともできぬまま「1年後」というテロップが出た時は本当に放心状態になってしまった。なんという仕打ち。香村女史はこちらを殺す気か。しかし、ドグラニオを自分でも切れぬと豪語した鎖で監禁するとはなかなかの変態であるし、よく考えられている。なぜとどめを刺さなかったかも分かる。彼らは諦めていなかったからだ。とどめを刺したら金庫が開く、そんな保証はどこにもない。でも絶対にルパンレンジャーを諦めない。パトレンジャーの決意があの監禁なのだろう。

ジャックポットストライカーに助け出されたルパンレンジャーは、もう3人の怪盗と出会う。恥ずかしながら全く想像がつかず、むしろあの瞬間「知らん奴出てきたらどうしよう…」と一瞬でも不安に思った私を許してほしい。祝え!3人の願いが、本当に叶った瞬間である。魁利の、この1年一切見せなかった顔をくしゃくしゃにした泣き顔に、これまでの辛く長い戦いの終わりをようやく感じることができた。

そうして通常オープニングへと繋がるルパンコレクションの奪い合い。最後の戦闘の素晴らしさは言わずもがなで、同じ人間ですか。二足歩行ですか。母さん、元気でやってますか。そんな気分で観ていた。そのルパンコレクションの名前が『あの日をもう一度』である。どんだけ泣かせれば気が済むのだ。このルパンコレクションの公式説明文には「自由自在に爆発をフィーバーさせる時限タイマー。」と書いてあるがちょっと意味が分からないことも含めて最高である。すでにこちらは勝手にフィーバーしている故使用する機会はないだろう。

ノエルの願いを叶えるため、すべてのコレクションを集めるまでルパンレンジャーはルパンレンジャーであり続ける。最後のルパンコレクションは、そう、パトレンジャーのVSチェンジャーとトリガーマシンだ。最後の最後までVSであり続けた二つの戦隊。30分、どのシーンも長すぎず短すぎない。さすがに文句のつけようのない、素晴らしい最終回だった。

そんなルパパトだが、もちろん不満もあるっちゃある。人間とは欲深い生き物なのだ。素晴らしければ素晴らしいほどもっともっととねだる。いやいや、今回ばかりはちょっと足りて無かっただろう。ザミーゴ・デルマの登場回数と重要人物度が全くバランス取れてない。むしろなんかちょっと忘れかけてただろう。温水さんを分裂させる暇があったら何故ノエルがそこまでアルセーヌに固執するのかもう少し描いてくれても良かったのではないか。

しかしまあ、そんな不満も帳消しにしてしまうくらい、素晴らしい最終回だったのだ。ルパンレンジャー、パトレンジャー、1年間本当にお疲れ様でした。テレビでも、ショーでも、本当に楽しませてもらったので感謝してもしきれない。
そして、個人的に素晴らしい泣き顔を見せてくれた伊藤あさひの今後に期待したいのだけど、少なくとも次の役柄が「26歳フランス人」なので頭を抱えているところである。