ロマンチックモード

日常と映画と本と音楽について

第11話 蓋に苦労する

2月19日、褒められた原因について考えこんでいる。

日曜日、まず髪を切った。短めのボブと眉上でカットされた前髪に強めのパーマを掛けた、極めてモードなスタイルである。(よく言ってアメリ、スタイリングによりワカメ)ボリュームが少なく細い髪の毛なので以前からパーマは必須だったのだが、しばらく前髪を流していたので眉上の前髪が新鮮に映るらしい。そして、眼鏡もスクエア型のべっ甲フレームから黒縁で下の方が丸みを帯びた、これまたモードな仕上がりのフレームへ変更した。眼鏡は健康診断の結果を見て新調に至った。仕事終わりに行ったからなのか眼鏡を掛けた状態で「0.3」という数値を叩き出してしまったのである。実のところ眼鏡屋で測定し直したらそこまで悪くはなっていなかったので、まあ作らなくても、とも思ったが、大人として測定してもらった手前断ることもできず購入に至った。それでも度数と乱視を1段階強めたものが出来上がってきたので、まあ作ってよかったと今では思っている。

そんな具合に分かりやすく見た目が変わった私に、会社の優しい人は「なんだかすごく可愛くなった!恋でもしたの?ってくらい!」と言うのである。変わったのは前髪と眼鏡のフレームなので恋というよりは金の力なのだが、私にはもうふたつ心当たりがあった。ひとつは何を隠そう日曜日に放送された「スーパー戦隊最強バトル」。そしてもうひとつが美容部員から言われた言葉を真に受けて導入したエイジングケアクリームである。

スーパー戦隊最強バトル」、事前情報により動物戦隊ジュウオウジャーの風切大和、通称大和先生の胃が心配されていた話題沸騰の4週連続放送のこの企画、4週こっきりとは思えないほどしっかりと作られたオープニングに放送当時から変わらぬ姿を届けてくれる演者たちが30分短しとばかりに暴れまわり、私を含め皆さんも大いに楽しんだことと思う。予告では最強バトルを脅かすガイソークのメットが外れていて素顔が見れそうなのに皆が皆推し語りに夢中で誰もそれについて言及しない。私とてそうだ。推しの新規絵がこんなに嬉しいとは思わなかった。それまでにも自分には推しがいると思い込んできたが、こんなに嬉しいのは本当に初めてなのである。タカ兄!おかえりなさい!大和先生を送り出す「アツイぜ!」の一言が私の心をこんなにも震わせる。そもそもオープニングのタカ兄のターンがもう最高なのである。他のメンバーが傷を抱えながらキリっと前を見据える中、ニチアサ巻きの状態で全力の笑顔を披露しているのだ。これぞタカ兄である。宇宙海賊に怯えるカグラがタカ兄の袖を掴むのも良く分かる。持ち前の明るさと素直さに加えてこの男は子持ち、妻帯者なのである。安心感が半端ない。分かる、分かるぞカグラ。
会社の優しい人の言う「恋」が「推しに会える」ことを意味しているのであれば、それは完全にタカ兄であろう。それが思い当たった理由である。

ところで、私は定期的にエステに通っている。以前からお世話になっている化粧品店で、ブライダルエステも含めたコースを購入していたのだ。実際そのエステはそれはもう最高で、私のように6回コースを使い切るのに丸1年費やすようなことをしなければ、劇的に肌が改善すると思われるくらい素晴らしい技術とパックである。
そこではいわゆる「肌診断」というのも実施しており、頬の一番高いところにテープを貼ったり、スコープを当てたりして肌の状態を見ることができる。テープを貼ったりしたものは2週間ほどかけて分析され、心が折れる結果を寄越してくれる素晴らしい代物だ。

その日、私は注文していた洗顔石鹸を取りに行くついでに久しぶりのエステも施してもらったのだが、前回行った肌診断の結果も届いていると言う。記録によると前回頬にテープを貼ったのは8月らしい。おっととっと、夏じゃん。それからもう幾月も過ぎてしまったため新たに現在の肌の状態を調べるべくまたテープを貼ったわけだが、相変わらず辛辣な手紙をいただいてしまった。
私の肌は吹き出物のできやすい、診断でいうところの「敏感肌」なのだが、性格と同じく表面上は非常にきれいに保たれているらしい。もちろん吹き出物はポツポツと赤みを帯びて出来ているものの、毛穴やシミ・シワがないらしいのだ。それは非常に喜ばしいことなのだが、最先端技術でもって測られた結果によると内部がめちゃくちゃ年寄りとのことなのである。弾力がなければ潤いもない、表面のシワ、シミ、毛穴のなさも吹き飛ぶ肌内部の老化現象。まさかの年齢詐称疑惑である。

そんなわけで、「洗顔はアクネソープなのでニキビケアはできている。それ以外のところで肌の内側の渇きを補うことをおすすめする」というアドバイスを受け止め、その足でエイジングケアクリームを買いに走った次第である。これが心当たりのふたつ目、若返り効果だ。正直このクリームを使い始めてめちゃくちゃ肌の調子がいい気がする。(気がする)なのでこれが「今の私の正解」と信じてここに書き記しておこうと思う。

私の肌は敏感・ニキビの2大体制でお送りしている。ニキビ対策にとふき取り化粧水を使おうものならコットンの摩擦に負け肌が赤くなるという体質だ。そして私はあまりお金がない。よって現在落ち着いているのは無印良品の化粧品である。

まずニキビ対策として、アクネソープを使っている。これはPOLAである。正直高いが効果も高い。このアクネソープは市販のものではなくAPEXという肌診断をしたのち購入できるものなので、ニキビに悩んでいる方は勇気を出してPOLAの門を叩いてほしい。そして、その他のスキンケアはすべて無印良品でそろえている。化粧水から乳液まではニキビ対策としてクリアケアシリーズを使用している。

www.muji.net

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洗顔後、この順番に塗っているわけだが、ひとつひとつの単価が安いので美容液まで買えてしまうのだ。無印すごい。上記のようなワガママスキンを持っている私だが、このシリーズを使うことによって新たな吹き出物の生成を最小限のものに食い止めている気がする。(気がする!)
そして、美容部員の「肌内側の老化」という言葉と、常々言われていた「乾燥」という言葉に慌てて買い足したのが、同じく無印良品の「エイジングケアクリーム」である。

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クリアケアの化粧水(高保湿)・美容液・乳液の3つでも肌がベッタベタの状態だと思っていたのだが、違った。保湿クリーム凄い。よく「クリームで蓋をする」という表現があるが、まさにその通りだ。全体に化粧水をペッタペッタとなじませ、鼻・頬・フェイスラインの赤い部分に美容液をサラサラと塗り、顔全体に乳液を伸ばしていく。その状態でクリームで蓋をしていくのだ。これがもう、めちゃくちゃいい。クリームは両頬に割にたっぷりおいて、できるだけ薄く全体に伸ばしていっている。正解かは分からないが今のところ翌朝の肌の状態はすこぶる良好で、赤みも薄くなってきている。ひとつだけ注意していただきたいのはこのクリームの蓋の固さである。ここでいう蓋とは塗ったことによる蓋のことではなく物理的な蓋のことである。超開かない。改善してほしい。

そんなわけで、これらが今の私のスキンケアの正解なのであった。せっかくなので記念に書き残しておくが、もし褒められた原因がエイジングケアクリームにあるとしたら、やはりこれも金の力なのである。