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映画「TAXi ダイヤモンド・ミッション」


映画「TAXi ダイヤモンド・ミッション」60秒予告

あらすじ:
スピード狂の宝石強盗団からダイヤモンドを守るには、いまや伝説となったあのタクシーに乗るしかない。すでに警察を辞めてしまったかつての運転手の甥をつてにようやくタクシーを手に入れた警官シルヴァン・マロは決戦に挑む。

突然「TAXi、明日の19:50がラストチャンスです」とだけ書かれたLINEが来たことがありますか。私は来ました。2月12日、ちょうど深キョンのドラマをニヤニヤしながら見ていると突然iPhoneが震えた。ただ事実だけを伝えるこの一文に強い意志を感じた私はバーフバリスタンプの中でも最敬礼の類に位置するカッタッパの『了解』スタンプを送ることしかできなかったのだった。

2月13日、「えっ5作目なの?!」という驚きから幕を開けた「TAXi」の新作をうっかり劇場で見てしまった。相変わらずの内容のなさ、小学生レベルのギャグセンス、硬い車の三本柱で110分保たせるのだからある意味すごい。序盤にうんこちんちんゲロの小学校男子3種の神器攻めが来るので正直「久しぶりのフレンチギャグが洗礼すぎる」と頭を抱えたわけだが、後半になってくると本当の意味で登場人物の頭の悪さが際立ってきて、悔しいが普通に笑ってしまった。だってあまりにも頭が悪いのだ。劇中でも「そんなにバカだとは思わなかった」と主人公が相棒に呆れる場面がある。主人公もそこそこ残念なイケメンだが周りの頭の悪さが突出していてまだマシに思えてくるのもすごい。

カーアクションは最初から飛ばしていてスピード感もあり、きちんとワクワクする映像に仕上がっているのでその点については安心してほしい。
それよりもフランスの煽り方は日本で言う京都に酷似しているな、と思いながらセリフの応酬を聴いていたわけだが、唐突にこれまたどうしようもなく頭の悪い二人組が出てきて、この2人が完全に千鳥だった。吹き替えで見たのだけど、完全に千鳥で、あ、千鳥だ、と思った。しかし全く邪魔になってないどころか、千鳥が出ていてお得!とすら思った。恐らくクセの強さがいい方に作用したんだと思う。

もうひとつ重要なのは、欧州車は硬い、という点だ。何台もの車がガンガンぶつかり合っていくのに一台も潰れていない。潰れるどころか上へ上へと積み上がっていくのだ。これは日本車ではまず考えられない描写だろう。日本車がサイドに鼻から追突したら追突した方の鼻が潰れる。しかしこの映画に出てくる車は違う。積み上がっていくのだ。日本や韓国、ハリウッドなら最後絶対爆発させるけどそれもしない。そこにただ車が積み上がっていくだけだし、人間はほぼ無傷である。高いところから車が落ちたらどうなると思うだろうか。これもやはり潰れたり爆発すると思うだろう。違う。刺さるのだ。車は刺さる。「TAXi」を見れば分かる。「ワイルドスピード」を見たことがあればもちろん車は空を飛ぶものと認識できていると思うが、「TAXi」を見ると車のさらなる可能性を体感できる。もう一度言う。車は刺さる。「TAXi」を見れば分かる。

そう、あれだけの人身事故を含む総当たりを車でやっておいて、明確にケガをしたのはたった2人。(しかもそのうち1人は車両事故ではない)なんて平和な世界だ。流血や人が死ぬ描写が苦手だけど派手なアクションが見たい方にはうってつけだろう。ガラスをぶち破ろうと一滴の血も流さないのが「TAXi」の世界だ。

こんな具合に、最低なギャグから幕を開けたこの映画を、後半に行くにつれ普通に笑顔で楽しんでしまった私なのである。作ったバカ、出資したバカ、IMAXにしたバカ、バカが揃ったお陰で観に行くバカが出来てしまった。キャストも一新されたので、きっとテレビで放映してほしいと思う。その時には一緒に最低のフレンチギャグを浴びドン引きすることを約束する。