ロマンチックモード

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第12話 目指す

私は日商簿記2級を持っている。これは本当にラッキーなことで、この資格のお陰で今の会社に入社できたと言っても過言ではない。今時そんな会社があるのかと思われるのかもしれないが、資格を足切りの一つとして採用している会社は確かに存在し、結果その恩恵を受けぬるっと入社してしまう私のような輩が生まれてしまっている。

しかし、ここにきてあることに気が付いてしまった。資格で足切りをする、ということは「その資格を受けることによって得られる知識については教えない」という会社側からのメッセージでもあったのだ。このことに気が付くのに丸1年を要した私は焦った。全然覚えてない。右と左の数字が揃うことくらいしか思いつかない。

ところで私の夫は介護関係の仕事をしているのだが、残念ながら努力のどの字も書けない先送り人生を送っていたことが判明し、その道と決めた人なら20代のうちに取得しておくべきケアマネージャーの資格をいまだ取得しておらず30代の後半に差し掛かっている。昨年6年ぶりに受験したがあまりにナメた態度にケアマネ側も怒ったのかまさかの合格率10.1%。受かるわけがない。受験資格等も変更になり難関試験の様相だがその目を下にスライドさせると2017年度の合格率21.5%。申し訳ないがこれは受験年度ガチャに負けたとしか思えない。そもそもナメくさりすぎて惜しいどころの話ではなかった。あの箸にも棒にも掛からぬ点数では2017年度でも合格していなかったと思う。
けれどもこの先、夫の体も年々自由が利かなくなるわけで、いつまでも現場で利用者の体を上げ下げできるとは思えない。どこかのタイミングでマネジメント側に回るか、ケアマネージャーの資格を得てそちらに回るか、そのどちらかしか道はないと思われる。

私は考えた。なんにせよ、夫の合格が先決である。その資格で給与や立場、職務内容まで変わってしまうのだ。彼にはさっさと受かっていただいて次のステージに行ってもらわねば我が家の安寧も保たれない。勉強させるしかない。どうしたら彼の重い腰を上げることができるのか。

最初、同じケアマネの勉強してやろうかと思ったが、そもそも受験資格がないし当てつけ以外の何物でもない。全く馴染みのない分野を一から勉強してこの道十ウン年の彼より点数を取ってやろうというのは完全に暇人のやることであるし当てつけにしては手が込みすぎている。
ここでようやく気付いたわけである。簿記だ。私は簿記2級保持者である。高みを目指すことによって会社でも役に立つ知識が得られるのであれば、そして運良く合格なんぞ出来た日には素晴らしいステータスにもなる。簿記1級。丁度ケアマネージャーの資格と同じ合格率の資格なら必死さやボリュームも同じくらいになるのではないかと算段していたのだ。日商簿記1級の合格率は前回の試験で8.96%。10%を切ってきたがなかなか似たような数字なのでは?と思いながら日商簿記1級のテキストに目をむいた。6冊て。

そんなわけで日商簿記1級を目指して復習しているのだけれど、とりあえず現状手元にあった簿記3級のテキストの、決算仕訳で思いっきり躓いたことだけ報告しておく。せっかくなので弱った脳で簿記を勉強する可哀そうな記録でも、気が向いたら書こうか、などと考えている。