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「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー ファイナルライブツアー2019」@札幌文化芸術劇場hitaru

natalie.mu



3月24日、とうとうお別れの日がやってきてしまった。通称FLT、地方民にとってはキャストに会える最初で最後の機会である。以下ネタバレしているのでこれから楽しむ方はどうかそのままネットの海に戻ってほしい。





前日から冬に逆戻りしたこの日の札幌は吹雪と晴れ間を行ったり来たりする難儀な天候であった。私は2回目だけの参加だったのだけど、先に1回目を鑑賞する友人から会場は常夏な旨の連絡を受ける。いくら暑いと言われようとも窓の外は吹雪である。結局春コートの中にウルトラライトダウンを仕込んで調節することにしたのだけどこれは正解であった。会場、超暑い。

hitaruは昨年完成しオープンしたばかりのピカピカな会場だ。オペラに対応するように作られた劇場で、今回私も初めて入ったのだけど、戦隊のショーをやるには煌びやかが過ぎる会場だった。新しい分設備もしっかりしていて、トイレで並ぶこともなく快適に過ごした。1階中腹の席はあまり傾斜がなく、前の人の頭で一部舞台が欠けてしまったものの、問題なく楽しめたほうだと思う。煌びやかが過ぎるけど、地下鉄から一度も外に出ることなく入れる立地と清潔さ、設備の充実さを一度体験してしまうと、もう全部ここでやってほしいなと思った。

第一部はキャストも出演するショーである。TVの最終回の後がそのまま舞台となって帰ってきてしまった。TVではギャングラーが持つ最後のルパンコレクションを取り合い、「君はどっちを応援する?」で終わったが、その戦いをボリュームアップし、最後のルパンコレクションでもう一波乱起こしながら今一度ギャングラー幹部たちを倒すというストーリーであった。正直、これをそのままテレビで放送して欲しいくらいのしっかりした脚本でありながら、アドリブを入れ込む隙もあるという100点満点なショーであった。
私は2回目しか見ていないので、どこがどうアドリブだったかという正確なものは分からないのだけれど、ご当地感を出してくれたりというサービスは素直に嬉しかった。具体的には圭一郎が突然「じゃがポックル!」というくしゃみをし、それに魁利が「北海道の美味しいお菓子!」という合の手を入れるという謎のアドリブであった。その一瞬前までシリアスしてたのに…。
席の関係で咲也と初美花のやりとりは目の前で見ることができた。これはFLTにくるたび思うけれど、俳優さんというのは本当にスタイルが良くて皆それぞれきれいな顔をしている。いやいや、当たり前かと思われるかもしれないけれど、TVに映っているのと全然違うのだ。TVだともう少し厚みがあるように見えたのに、スラっとした体形ではっきりとした目鼻立ちで男らしい格好良さが咲也から溢れていて、キャラクターもあるけれど、これはTVを通してしまったばかりに俳優さんの良さが消えた例だ…と思いながら見とれていた。圭一郎もそうだった。残念ながらこの日の圭一郎は黒髪前髪ではなく、茶髪で前髪も少し分けていて、しっかりズラを被った魁利に謝ってほしいと思いながらも「そうか、圭一郎もただのイケメンだったか」と思った次第である。写真集まで買った魁利の中の人はズラの収まりが悪かった(現在すでに黒髪である)のを差し引いても彫刻のような美しい顔を持った若者だった。つかさ先輩はとてもキレイで、初美花は非常に可愛らしかった。ノエルは顔が小さくて、素晴らしいパルクールを披露してくれた。

アクションも見納めになってしまうかもしれないな、という寂しさを感じながら見入っていた。変身バンクの入れ替わりはそれぞれ趣向を凝らされていたり、敵幹部がたっぷり登場したり、スーパールパンブルーやスーパーパトレン3号など本編では見れなかったフォームを見れたり、ルパンレッドの分身術まで見ることができた。3人いても全員格好良かったので、今期最強モテコーデはやはりルパンレッドで決まりだな…などと思いながら見ていた。ノエルのパルクールを受けてから変身したエックスはさぞかし重責だったろうと今では思うけど、実際見ている最中は変身前も変身後も変わらぬ素晴らしいアクションを見せてもらった。ルパンイエローはきれいな開脚で敵の攻撃をかわしたり、ルパンレッドがパトレン1号に剣を託したりと一つ一つのアクションが物語上でもグッとさせてくる演出が素晴らしかった。
特別思い入れがあるのはやはりルパンレッドのアクションだ。こういうことを言うのはあまり良くないと分かっていながら、最後なので言わせてもらおう。札幌のルパンレッドが一番格好いい。もちろんTVで伊藤あさひと浅井宏輔が作り上げたルパンレッドありきなのは分かっている。分かっているんだけど、私を魅了させてくれるのは間違いなく札幌のルパンレッドなのだ。アクションとアクションの合間に見せる細かな動きにキャラクター解釈の深さが見える。TVで見せたほんの一瞬の仕草を捉えた彼の演技は一級品だった。これからも色んなヒーローを演じて欲しい。気付けるか分からないけれど、きっと分かってしまう気がする。応援したい1人だ。

元木聖也濱正悟を背負って登場した第二部は、トークショー・抽選会・ライブと盛りだくさんの内容だった。(背負われたまま全速力で走られた濱氏は「すごいたのしかったー」と子どものような感想を言っていた)盛りだくさん過ぎてひとつひとつがどんどん終わってしまった。それにしても、トークショーや最後の挨拶を見ながら、こんなに7人がきちんとまとまりながら最後にはきちんと締まる、というのを久しぶりに見た気がする。これは工藤遥元木聖也の存在が大きいな…などと思いながら見ていた。特に工藤遥がすごい。さすがアイドル。声の通りや挨拶などが、もう、アイドルのそれなのだ。元木聖也もそうで、トークショーでは彼を司会とするコーナーまでやってのけた。ただの目立ちたがり屋の感も否めないけれど自分を出しつつきちんと司会にも徹するから器用な人なのだろう。この2人に引っ張られながら、ガチャガチャしつつもきちんと挨拶する7人の姿は、初めて見たのに『成長』という二文字を感じずにはいられなかった。
札幌でのキャラクターソングは魁利と咲也だったのだけど、どちらも他のキャストがサイリウムで盛り上げながら歌いあげていた。魁利の歌はバラードで、その上伊藤あさひの歌声が「ちょっと歌の上手いお兄ちゃんのカラオケ」みたいな感じだったので完全に子を見守る親の目線になってしまった。歌っている最中結木滉星がずっと伊藤あさひの腹を小突いたり肩を組みにかかったりしていて、うざいなと思った。(褒めています)咲也のラップ(サクラップ…!)はとても上手くて普通にノリノリで聞いてしまったんだけど、元木聖也サイリウムの点け方に四苦八苦してるのを奥山かずさが教えているのを見てそれどころではなくなってしまった。
ところで、結木滉星が意外とちゃらんぽらんというか、しっかりしてるけど一番ノってしまうタイプの人なのが面白かった。主題歌を担当した吉田達彦が札幌出身で、歌唱を終えた後のトークで「ただいまー!」「おかえりー!」というやり取りをしたのだけど、最後の挨拶で結木滉星が突然「いやなんかちょっと懐かしい気がするので僕も『おかえり』って言ってもらっていいですか?」と謎の要求をし、結局やったのだけど、こればかりは本当の本当に謎である。欲しがり屋さんにしては欲しがりすぎだろう。お前は一体どこに帰ってきたというのだ。伊藤あさひはモジモジしながら、若者特有の少し伸びたようなしゃべり方をしていた。彼に対して私は激アマなので可愛いやつだな、と思った。

ちゃっかりお楽しみ袋を購入したので最後はリュウソウレッドも含めた8人のヒーローと握手をして退場した。もう大きなお友達など全く珍しくないので、ヒーローたちはそれぞれ普通に握手してくれたのだけど、ルパンレッドと握手をしたら、それまでフワフワとしていたものがいきなり『寂しい』という明確な感情になり押し寄せて、そのままトイレで号泣してしまった。トイレに籠ったことを褒めて欲しいくらいである。自分がどんな顔をしてしまうか恐ろしすぎてマスクをしたまま握手をしたのだけど、本当に正解だった。顔面崩壊するところであった。向こうも1人1人の表情など見ている暇はないとは分かっているものの、大人としてさすがに恥ずかしさがあるのである…。

このようにして、私のルパパトは終わった。最後の最後まで物語に夢中になり、アクションに夢中になり、ヒーローに夢中になれた幸せな1年間だった。来年またこんな気持ちになれるように、リュウソウジャーを応援したいと頭では思っているものの、もう少しこのロスは続きそうである。