ロマンチックモード

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第21話 青春の瞬き

7月9日、久し振りに聴いた「青春の瞬き」に今更ながら感動する。


若さゆえの貧しさ、あどけなさと、それを今まさに失おうとする瞬間を歌った歌詞は分かりやすく、それが美しいメロディーに載せられていく。当時も十分いい年齢だったはずなのにようやく気付いたのは、そもそも当時購入したのに聴いてなかったからだった。積ん読ならぬ積みCDである。


「青春の瞬き」が収録されたアルバム「逆輸入」が発売されたのは2014年だった。5年前、このブログによると当時勤めていた会社の先輩が闘病に入り、それまで2人で行っていた作業を一手に引継ぎ、それにプラスして新人の教育をして…なるほど、つまり郷愁に浸る暇がなかったらしい。あまり難しくないポップなものを好んでいた時期なのが分かる。


なぜ今になってこのアルバムが聴けるのかは分かる。椎名林檎の楽曲は私にとって健康体じゃないとエンタメとして消費できないからだ。幸い現在は心身共に健康であるので、正しく郷愁に浸ることが出来たのだった。


全然話は変わるのだけど、最近こそこそとPS4スパイダーマンをプレイしている。「ファーフロムホーム」で登場したステルススーツとアップデートスーツが無料配信されると聞いて、その日にいそいそと買いに行ったのだ。すでにバリューセレクションになっているので、定価でも4千円で買えてしまうのがすごい。

すでにYouTubeでプレイ動画を見ていたのである程度分かっていたのだけど、実際に自分でやるとなるとたったひとつのボタンでニューヨークの街をスイングするのは非常に気持ちよい。レベルが上がるとスピードも上がり、手を離しただけでスパイディが勝手にくるんと回ってくれたりもする。

PS4スパイダーマンことピーター・パーカーはすでに大学を卒業し、メイおばさんの家を離れて一人暮らしをしているものの、家賃が払えていないようであった。どの世界線でもお金がないのがピーターのアイデンティティのようである。スイングする時も、戦う時も、戦いが終わった後も絶えずしゃべり続けるピーターは、「トムホ版が大学を卒業するまでスパイディ業をしていたらきっとこんな風になるだろうな」と思わせるようなキャラクターで、とても可愛らしいのも最高である。

あまりゲームが得意ではないので、一番難易度の低い”フレンドリー”モードで遊んでいても、あまりに下手で詰みそうになったりもするが、ヒントや助け船が細かく設定されているのかそこまで絶望せずに進めることが出来ている。ついうっかりメインストーリーをそっちのけで強盗退治と自撮りに時間を費やしがちなのが難点だ。

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ステルススーツ。生地の質感まで分かる。なにより可愛い。


すっかりスパイダーマン大好きっ子になってしまったのだけど、特にMCUスパイダーマンにハマってしまうとトム・ホランドと切っては語れない。過去の2作品に比べ、本シリーズの15,6歳のピーター・パーカーは私たちが知るそれくらいの年齢の子どもそのものだ。憧れの人に認められたい、子ども扱いは嫌だ、でも怖いものは怖いし、好きな子とデートしたい。そんな青春を見せてくれるのが若干23歳のトム・ホランドで、彼もまた本物の、15,6歳のピーター・パーカーなんじゃないかと思うくらい幼い行動を取るのが世界に発信されてしまっている。

映画のスパイダーマンで青春を観ながら、探しに行かなくても手元に転がってくるトムホ情報を見ていると、そもそもトム・ホランドがたっぷりの愛情を注がれて育ってきたのだろうな、というのが感じられる。とにかくその行動の危うさは長男と思えないほど幼稚なので、それこそがその証明だと思えてならないからだ。


そんなふうに考えていたところで、「青春の瞬き」を聴いたら、ものすごい郷愁に襲われたのだった。1番で歌われる若さの美しさと、失われつつあるものを憂う2番の歌詞があまりに切なく。若さというのは失われるべきものであるのだけれど、ずっと感じていたいものでもあるのかもしれない。花火のような美しさ、それが青春の瞬きなのだろう。




今週のお題「わたしの好きな歌」らしい。たまたまです。