ロマンチックモード

日常と映画と本と音楽について

Mount Alive presents THE FUTURE OF LIVE VOL.1@Zepp Sapporo

残念ながら、違ったみたいです。今年のライジング、私は昨年ほどの達成感がないことを「疲労感」のせいだとばかり思っていた。私自身が去年ほど歩かず、去年ほど疲労もしなかった。だから去年ほどの達成感がなかった。そう思っていた。でも違った。今年の夏、つかみ切れなかったものが、今日のライブにはあった。間違いなく。
まず最初にMount Alive山本氏から挨拶。「会社の名前が若干安直過ぎる点」についての言及はありませんでしたが、校長先生的挨拶は健在。「今日はふたつお話があります」とか言い出しかねない雰囲気でしたがそれもなかったです。そして「Mount Alive主催イベントVol.1、本当に本当の一発目はMO'SOME TONEBENDER!」この人の紹介はやっぱりうまい。
・MO'SOME TONEBENDER
誰かあの人を止めて。
彼らを見るのはこれで2回目なのですが、恰好よかった。初めてじゃないのに初めてのような衝撃を受けました。本当に恰好よかったんです。曲名も知らないし、歌詞も分からないので何がどうということを一切言えないのですが、「ちゃんと聴いてみたい」と思うくらい恰好よかった。
それにしてもそのなんていうか武井さんですけど、MO'SOME TONEBENDERのTOBYということでよろしいんでしょうか?そういうことでしょうか?そういうことですね?そういうことにしましょう。

女子「百々かっこいーよー!」
百々「セーーーーーーンキューーーーーーーーーー」

というやりとりがあったんですが、1人だけの声に対して返答したのでちょっとした盛り上がりでしたが、冷静に聞くと「響の謝罪」に通ずるところがあるので何とも言えません。(感謝する気ないだろ)
ところで、この時点での客入りは大目に見て3分の1程度、要するにガランガランでした。まあ最後に登場する人に合わせてくる人が大半なのがこういったオムニバスイベントの悲しいところです。それから会場の後方、こちらがこのイベント最大の特徴で、物販2か所・ソフトドリンク・食事・アートがひしめき合っている。といってもそれぞれはこじんまりとしているのですが、でも必ず毎回訪れるセットチェンジ時にカレー食べたり、エビバーガー食べたり、ライトの群れに癒されたり、真っ白なキャンパスに少しずつ完成されていく絵を見たりと全く飽きない。終わってみれば4時間半の長丁場でしたが、全然長さを感じなかった。
小谷美紗子
さすが。
ゆったりめを中心に、その声の通りは久しぶりに聴いても瑞々しくて気持ちいい。トリオで登場して、一番最後に「このイベントが10年も20年も何十年も続いて欲しいし、私もちゃんと呼ばれるように日々精進します」と言っていた。とむかっこいいよとむ。(見どころの相違)
毛皮のマリーズ
ある種の天才がまた生まれている。と思った。
まずもってバンドTシャツ率No.1でした。目立つから目につく、というのももちろんあったと思うんですけどそれにしても多かった。そして、最初はあまりのビジュアルと演奏に若干ついていけなかったんですが、言っていることがだんだん頭に入って、落ち着いてその一挙手一投足を見てみると不思議と惹きつけられていく。とにかくボーカルの志摩氏という方が、背ちょう高ぇ。(そこ)あと目もでけぇ。(そこ)今見たら182cmだって。どうりで。でもって色白で髪が長くて細みで化粧をしてらっしゃるので一瞬男か女か分からなかった。まぁ叫ぶのですぐ分かるんですが、他のメンバーももちろんそれぞれの役目を全うしていて演奏も歌もすごくよかったんですが、本当にこの志摩という人は…山本氏も言っていた「今一番注目の」と。新しい、カリスマみたいなものを見たような気がする。あれは、惹きつけられますね。凄かった。
途中で呼ばれてその山本氏に挨拶をする。祝辞を述べた後、正直に「こうくるとは思わなかった」と伝えてみた。当の本人は「会場内でカレー売ってるなんてないでしょ!」と相当はしゃいでいらっしゃった。老けたな、と思った。
RYUKYUDISKO
あ…そういえばこの双子天から二物与えられちゃってる…。
しょっぱなから『NICE DAY』キター!そんな感じでした。楽しかった。もちろん曽我部氏乱入で大盛り上がり。踊り過ぎて一番疲れて一番終わるのが早く感じました。
もう足はガクガクであと『銀河VS俺』に言及したからか腹痛が治らない。やめてほしい。これ以上私を責めないでほしい。今でさえちょっと可哀想なのに「腹痛が治らない」とかありえない。そんな中でこのライブの雰囲気は、そう、フェスに近いのです。一番人気はアートスポットの明かりの周り。私もそこで地べたに座って休憩してました。
曽我部恵一BAND
もっと広く使えよステージを。
ライジングサンでも見たはずなのに、本日二回目、なぜか物凄い惹きつけられた。というか、その、手狭!もっと広がっていいんだよ?と言ってあげたいくらい4人がキュッてなってた。途中まで座っていた前の二人の片方が立ちあがってステージを見た瞬間、まだ座っている人に一生懸命手で幅をつくって何かをアピールしていた。多分彼女も思ったんだと思う。あいつらキュッてなってる、と。
残念ながら日付が本日のうちにメールをしないといけない仕事があったため23時丁度に抜ける。出入り口にちょう上機嫌の山本氏がいたのでまたご挨拶。アートスペースの絵が完成していたのでその旨を伝えると「あれね!すごいでしょ!俺が書いたんじゃないけど」上機嫌にもほどがある。今日一日で色んな人に褒められたんだろうなぁ。
正直、商業的にはかなり厳しい企画なんだろうな、と思う。人が入らないと利益にならない。それでも山本氏には頑張って2回目、3回目を続けていってほしい。というのも、オムニバスライブで初めての体験をしたから。
どんなに真面目に最初から参加していても、結局短く感じるのは目当てのバンドくらい、というのが今まで参加したオムニバスライブだったのが、覆されたんです。全部よかった。全部よかったの。そして多分他の人もそうだったと思う。最初は後ろで座っていた人たちも、結局最後にはみんな立ってる。そういう状況を何度も見た。これは今回のイベントのアーティストのブッキングの成功を意味していると思うのです。
私は今回MO'SOME TONEBENDER・小谷美紗子RYUKYUDISKOを目当てに行ったわけですが、結果毛皮のマリーズ曽我部恵一BANDまで全力で立ちあがって見入ってしまった。一緒に見ていた同僚はRYUKYUDISKOくらいだったらしいけど、やっぱり全部のバンドがよかったと言っていました。ひとつでもお目当てがあれば楽しめるようになっている、という感じがしたんです。「小谷美紗子聴くんなら、モーサムいけるよね」みたいな。「モーサムいけんだったら、毛皮もありだよね」みたいな。「曽我部好きでしょ?ならRYUKYUも好きだ。間違いない」みたいな。
ライジングでは感じなかった達成感があったんです。それはもしかしたら「発見」とか、そういうものかもしれない。ライジングに行く前も、行った後も「プロデューサーが変わっただけで、他は変わりはしなかった」と思い込んでいたけど、あるんだ、実際。Mount Alive、期待していいと思う。