ロマンチックモード

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海よりもまだ深く(5/29)


あらすじ:クズがクズなりに思い直します
テレビで見た「海街diary」がとてもよかった(AV的な意味で)ので、1,000円で見れる券の期限も近いしと見に行って来ました。こんなに何も起こらない映画は久々でしたし、途中ボケッとしていたような気がしますが、多分いい映画だったと思います。
「多分いい映画だった」というのは、見てすぐはとにかく池松壮亮が最高すぎて、ベストオブ池松壮亮すぎてそればかりに気を取られていたんですけど、しばらく時間が経つにつれて生活の中でふとこの映画のことを思い出すんですね。あれいいシーンだったなとか、あのシーンくだらなかったなとか、そういう風に思い出すので多分いい映画だったんだと思います。
阿部寛がとにかくお金にモテない(としか言いようがない)人間で、モテない上にダラしがないので本当にクズなんですけど、一身上の都合でなんとなく慕ってしまう池松壮亮や、いくつになっても子どもは子どもの樹木希林、生きていくために決断する元妻の真木よう子、クズでも父親が好きな息子。
是枝さんのすごいところは、映画という2時間の尺の中で登場人物の『現在』のみを追いながら、言動や暮らしぶりで過去を感じさせるところですよね…回想シーンとかほとんどないのに登場人物の過去が垣間見える。台風の夜、真木よう子に相対した樹木希林が、息子想いのただの母親の想いが、とてもやるせなくて切なくて温かかったです。いいシーンでした。
レビューでは「カルピスを凍らせたくなる」というのを多く見ましたが、私は宝くじを買いたくなりました。ああ、うん、やっぱりいい映画でしたよ!うん!