ロマンチックモード

日常と映画と本と音楽について

日食なつこ△Sing better△Tour @札幌サンプラザホール(1/25)

友人が誘ってくれて行くことが出来た。


日食なつこ「水流のロック」 4th MV

何を隠そう私がピアノを習い始めたのは彼女がきっかけだった。子どもの頃エレクトーンを習っていたものの、大多数の人々と同じように小学校卒業と共に辞めた。KANを聴いていてもそうはならなかったのに、何故か彼女の曲には「弾きたい」と思わせるものがある。バンドの中にも聴くだけで満足する人たちと「バンドやりたい!」と無性に思う人たちがいるのと同じなんだと思う。

以下、セットリストを含むネタバレがあります。



1曲目は『水流のロック』だった。ライブ映像は見ていたので、てっきり座って聴くものだと思っていたら、ぞくぞくとバンドメンバーが出てきて、日食さんが両手を大きく仰いで立ち上がらせての1曲目だった。音源とまったく同じ声、安定した音程、バンド編成でもバランスが取れていて超カッコいい。『致死量の自由』でハンドクラップがあるのだけれど、それまで胸元で大人しく手拍子していた人たちが一斉に手を挙げて自信たっぷりにクラップする様には宗教みがあり(もちろん私もしたのだけれど)、序盤にいきなりの揃いっぷりだったので、日食さんもこちらを向いて「お上手!」と言ったのは本当に驚いたからだと思う。

立て続けに早いナンバーがバンド編成で熱く演奏され、途中からはドラムとのセッションになった。温度が下がらないままついにソロになる。ここで「みんなどうもありがとう、お座りください」と言って促されて少しほっとした。『perennial』は「ピアノを弾きたい」と思った曲であり、音源ではカルテットに近い編成で行われているが、ライブでは完全ピアノソロとなっていた。ピアノの基本を押さえた伴奏の連続で大好きな曲の一つだ。

テーマは「雪解け」。それからタイミング的に「卒業」というのもあったと思う。学校を連想させる曲を何曲か演奏していた。個人的には『茜のキャラバン』が聴けたのが嬉しかった。札幌初日のリクエストは『メイフラワー』。「オツですな」と言いながら、Bメロの同じところを2回トチる98点の演奏とのこと。いや、というか、あんななに飛び出るか分からん方法であの演奏は十分すごいでしょ…。

最後は改めてバンド編成で『ログマロープ』客席の熱量が凄いことになっていた。めちゃくちゃ暑かった。歌いたくて仕方ない、が溢れていた客席を観て日食さんが煽ってくれてからの「はーーーがねの心臓!!!」の合唱は凄かった。ラストは新曲『四十路』。観客もステージに上がっての大合唱だった。500のキャパでこういう感じできるの、まず日食さんが観客を信頼してないとできないので素直に凄いと思う。

初めて生で日食さんを観たのだけど、裸足でペダルを踏むのか~というのと、1曲残らずピアノを弾く体力、声量を維持する体力に驚いた。「極上の非日常を提供して差し上げます」という自信満々のMCも最高だった。やっぱりあれくらい言ってくれると気持ちがいいな、というのと、言葉の端々に口の悪さが出ていて親近感が持てた。
そうそう、初めてだったので本編前後のアナウンスも新鮮に楽しんだし、「アンコールをしない、をしています」と言ってくれて助かった。アンコールについてはこれも一つの方法だと思うけど、参考までに同じピアノ弾きのKANさんは予め「私のコンサートは二段階でお別れしますのでよろしくお願いします」と仰っているのでご参考にされてもいいかと思う。


正直あんなに踊れると思わなかったのですごく楽しくて行けて良かった。誘ってくれた友人に感謝するとともに、次のツアーはちゃんと自分でチケットを取ろうと思う。最高の夜をありがとうございました。