ロマンチックモード

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陽気なギャングが地球を回す

いい大人が真面目に銀行強盗します!ときどき死体。
一度は夏ごろに読みだしたんですが、仕事がアレな感じでアレだったので一度中断。最近再び読み始めてそれから一気に。一気に。
伊坂さんの作品について共通することは、そのセリフの、やりとりの素敵さが、パねぇ。久々に読んだからなのかもしれないですけど、この本は全てが名台詞に見えました。

「自分で自分の背中に包丁を刺せるなんていう離れ業ができるなら、免許証に特記されてるだろうな」

この人たちの会話を聞いていると本当にニヤニヤしてしまうんですけど、ニヤニヤしながらもグッとくる場面も。伊坂さんの描く世界は明らかにファンタジー*1なのに、伏線として起きる事件があまりにも生々しくて恐ろしい。と同時に、ファンタジーとしての解決を痛快に描いてくれる。

こういう若者は、相手が暴力団だったりすると、大人しく尻尾を丸めて逃げ出すくせに、そうでない相手、常識の範囲内で行動せざるを得ない警察官や教師の場合には、理屈を捏ねてやりこめようとする。
(略)
久遠はすっと息を吸い込むと、淡々と言った。「おまえの言うことなんてさっぱり分かんないんだけど」
「何だと」
「君たちが何もしてなかったとしても、何かしてたとしても、全然、関係ないんだ」
「何言ってるんだよ」
「僕たちもやりたいことをやるっていうだけだよ」

それにしても伊坂さんの描く天才というのが素晴らしすぎて困る。特にこの本には4人がそれぞれに天才的な技を持っていますけど、核は成瀬さんすよね。成瀬さん好きです。というか天才が好きです。「ラッシュライフ」の黒澤さんとかもグッときます。
会社の人から「蟹工船」を借りたんですけど…先に「魔王」いっていいすか。
ロマンはどこだ。

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

「正しいことが人をいつも幸せにするとも限らない」あざーす!

*1:フィクションというべきなんでしょうけど敢えて。