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映画「シャザム!」IMAX


SHAZAM! | Official Teaser Trailer | DC Kids

あらすじ:
七つの大罪から世界を守るため、純粋な心を持つ少年が選ばれたんだけど、いざ変身してみたらオッサンだった。

マイティ・ソー/ダーク・ワールド」を観たわけだが、この金髪のイケメンがどうやったらシャザムのオッサンになるのか、もしかしてそれ自体が魔術だったのでは、という疑念が拭えない「シャザム!」公開直後の4月20日、朝一番に鑑賞した。めちゃくちゃ公開を待ちわびていたようなタイミングになってしまったのがちょっと恥ずかしい。以下ネタバレしています。


あと30分短かったらどちゃくそ面白かったと思う。それくらいシャザムの能力試し動画のターンが長すぎて飽きてしまった。逆に言うとそこだけが浮いていて非常にもったいないのである。


ビリーが孤児となり、探し続けた「家族」を得るまでの物語としては、かなりグッときたものの、肝心の『シャザム』状態が子供のビリーと同一人物に思えないのだ。ビリーは孤児となり、里親へ預けられても家出を繰り返すいわば問題児で、ある意味でリアリストだ。異空間で魔術師に対するビリーを見ていれば分かる。普通にドン引きして「僕地下鉄で帰らないと」なんて言えるビリーが、いざシャザムになった時にあんなにはしゃぐだろうか。足の悪いヒーローオタクがシャザムになってはしゃぐのは分かるのだけど、どうもその部分に違和感があり、そんな状態で上記のような能力試し動画をはしゃぎまくって撮るので完全に置いてけぼりである。


もちろんいいところはあった。今作のヴィラン、シヴァナである。彼は本当に最高だった。幼い頃から父や兄から「できそこない」のレッテルを貼られ、その上魔術師にまでいきなり「失格」などと言われるのだ。勝手に呼び出しておいてそれはないだろう。このヴィランはまさにifだ。ヒーローの素質、という話を先日「キャプテン・マーベル」の感想で書いたが、父も兄も魔術師も、外野だ。明らかに彼は子供で、彼らより「できない」のは当たり前なのにそれを笑われバカにされる。そこで立ち上がるのがヒーローであり、底に沈むのがヴィランだ。圧倒的な力で文字通り復讐を行う彼の姿はある意味一番純粋のようにも見える。


また、冒頭の語りや魔術師がビリーに力を与える時にゴニョゴニョと喋っていたことがきちんと回収されていたのも気持ちのいいところだった。兄弟の席が空いている、と確かに彼は言っていた。そしてこの物語は「家族」の物語だ。シャザムとなった彼が持つ杖を兄弟が握り、名前を叫ぶくだりはベタも含めて胸が熱くなった部分だ。


戦い方としてはアントマンに似た形になってしまっているものの、「シャザム!」と叫ぶ呪文は見ていて分かりやすいし気持ちのいいものだった。


ところで、ヒーローオタクのお陰で「どのヒーローがDCか」が一気に理解できたのは良かった。しかもまさかのアクアマンdisのオマケつきである。「ワンダーウーマン」は観たので、そのうちDCもマラソンできればいいな、なんて思った。


実のところ予告でかなり期待してしまっていたので、厳しい感想になってしまったんだけど、もう一度見るとまた印象が違うかもしれない。とは思いつつ、二度目はないかな、とも思っている。私にとって「シャザム!」は、そんな「そこそこ」な映画だった。